評論家の言葉

丸山雅秋 ― 彫刻が存在するということ

- 小海町高原美術館 中嶋 実

ブロンズの塊がそこに在る。大きくはないその塊は鈍く光を反射してそれぞれの面を見せている。直ぐに何かに捕らわれたように視線を外すことが出来なくなる。アルカイックともいえる全体像が見えてくる。一見幾何学的形態に見えたその塊を構成しているのは、内側から発せられているものを受け止め緊張を湛えた有機的な膨らみを持つ面だ。それぞれの面は僅かに傾き、浮かび、重力に抗うようにその塊を構成している。そして面と面がつくる線は静かに全体を定義する。上部には掘られたのではなく、そこに在ったかのような溝がある。溝の内側と外側の関係が生まれ、塊を取り囲む空間との新たな関係が生まれる。表面は複雑な様相を見せる。傷、色の変化、凹凸、手の痕跡、時間が封 じ込められているかのようだ。その彫刻作品は、丸山雅秋のアトリエに在った。

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存在-丸山雅秋の彫刻

- 中嶋 実(小海町高原美術館学芸員)

丸山雅秋の彫刻には、観る者を引き付ける重力のようなものが内在する。本展出品作品から一見直方体に見えるブロンズの彫刻をみる。大きくはないその彫刻にとらわれた視線は、表面を移動し、有機的でやわらかな面を発見する。それぞれの面は僅かに傾き、浮かび、時に重力に抗うように彫刻を構成し、面と面がつくる線は静かに全体を定義している。

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沈黙の形 ― 丸山雅秋氏への手紙

- - 酒井忠康(美術評論家)

あなたの作品について考えようとすると、あなたに初めてお会いした日のことが思い浮かぶ。私にとって、といってもいいくらいに、いまでもありありと思い出すことができます。

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存在

- - ベルント・フィンケルダイ

丸山の作品において可視化するのは、人間の社会、建築、そればかりか自然においても遭遇する様々な関係なのである。最近の一群の作品で丸山は、普遍的な人間の問いとは何かを可視化しようとしているようにみえる。

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マルヤマ・マサアキの作品について

- - イルムトラウド・シャールシュミットリヒター

マルヤマのブロンズには、この余韻を空間の構成要素たらしめる力がある。言い換えれば、これらの彫刻は空間を生起させる。作品は生起する空間を示す印であり、同時に、空間全体の象徴でもある。

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